\さいごまで/ じぶんちing研究所

”ずっと自分の家で暮らしつづけること=じぶんちing”について考える。

在宅医療で点滴をいつまで続けるかという選択

在宅医療を利用しながら、自宅で最期をむかえようとするとき、家族のかた、医療者にとっても難しい選択となるのが、”点滴をいつまで続けるか”ということ。

これは、とてもデリケートな問題です。

 

私は在宅診療所に勤務していますが、自分の家族が在宅医療を利用したこともないし、
医師や看護師さんのように、ケアの現場で直接このテーマに直面することもありません。

でも、職場のカンファレンスで時折このテーマが取り上げられるたび、
自分の家族のケアだったら、どう考えるだろう・・と想像してしまいます。

 

末期がんの場合、栄養を投与しても体が栄養を利用できなくなる”悪液質”といわれるステージになると、過剰な点滴は浮腫や痰などの原因となり、かえって苦痛の原因となると言われています。このため、”悪液質”の段階になって栄養投与の方法を、それまでのカロリーと水分をなるべく供給する目的から、苦痛を軽減する目的へガラリと変えることを、”ギアチェンジ”と呼んだりもします。

医療者向けですが、終末期がん患者の輸液療養に関するガイドライン2013年版に詳しく記載があります。

 

がんか、がん以外かといった病名や、そのステージによっても栄養投与の方法は変わってきますが、その際、患者さん本人に意思を確認することが難しい場合、ご家族をはじめとする周りの方に状況をお伝えして、相談しながら点滴など栄養摂取の方針を決定していくことになります。

 

ご家族としては、大切なひとの生命に対して、自身の選択が影響を与えるかもしれないという葛藤で思い悩んでしまうでしょう。

そんなとき、

ご家族は、どう思いますか?」ではなく

「ご家族として、本人は何を希望すると思いますか?」

と聞くことが大事では?という医師の話を聞いて、自分自身とてもしっくりきました。

ご家族の希望ではなく、患者さんを一番よく知る家族として、本人の気持ちを想像してもらうことは、家族にしかできないことだと思いますし、決定しなければならない家族の精神的な負担も軽減されると思います。

もしも自分自身の意思決定ができくなったとき、

「この人がそう思って判断してくれたなら、その決定で何の不満もないよ」


という思いが自然に出てくる人が周りにいること。

それは、とても幸せなことだと思います。

 

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