\さいごまで/ じぶんちing研究所

”ずっと自分の家で暮らしつづけること=じぶんちing”について考える。

在宅医の見つけ方

在宅医療を希望した場合、どこに相談するのがいいの?

 

私は在宅医療を行う診療所で、最期まで自宅で暮らしたいと願う患者さんの相談にのったり、退院するにあたっての病院との調整などを主な仕事にしています。

 

その中で
「在宅医療ってどうすれば、受けられるのかわからなかった。」
という患者さんやご家族の声を聞く事があります。


そこで、私が思う相談できる場所を、ざっとあげてみます。


①現在かかっている病院

私の診療所でも、病院の相談員さん(いわゆる医療ソーシャルワーカーさん)からの紹介で在宅医療が始まるケースが多いです。
地域の大きな病院はもちろん、多くの病院には「地域連携室」あるいは「患者サポートセンター」など、名前は違えども患者さんの相談にのってくれる部署があるはず。

病院の相談員さんに相談するメリットは、その病院で過去に紹介したことのある在宅医を紹介してくれることです。その場合、病院と連携がとれている在宅診療所を紹介されるので、病院の外来や退院から、スムーズに在宅医療にバトンタッチできると思います(患者さんの希望があれば、病院も併診することもできます)。ただし病院の主治医が在宅医療が必要だと考えたタイミングで初めて相談員さんの介入が始まることが多いので、場合によっては、紹介のタイミングが遅くなったり、病院の先生の方針では在宅医療の方針にならないこともあります。もしも在宅医療について興味があれば、自分から地域連携室へ話を聞きに行ってみるとよいと思います。病院の相談員さんは、私の知る限り、とても親切でアドバイスも的確な方が多いです。きっと親身になって相談にのってくれるはず。

 

②担当ケアマネージャー
すでに介護保険を利用していて担当のケアマネージャーさんがいるなら、ケアマネさんに相談してみるのもおすすめ。在宅診療所の評判や先生の個性など、ケアマネさんならではの細かい情報をお持ちのことが多いです。ただしケアマネさんによっては、在宅でのお看取りケースに携わった経験、ケアマネさんの思想や信念、バックグラウンド(医療職、介護職、福祉職等の出身の違い)などによってアドバイスが変わってくる可能性もあります。

 

地域包括支援センター
地域包括支援センターは、保健師社会福祉士・主任介護支援専門員などのスタッフさんが、介護や福祉の相談にのってくれる、市町村が関わって運営する施設です。

地域によって「安心センター」など様々な呼び方がある。地域名と「地域包括支援センター」でインターネットで検索すれば、一覧表がでてきると思います。
例)群馬県の地域包括支援センターの一覧

まだ介護保険を利用しておらずケアマネさんがいない場合、まずは相談にいくとよいと思います。地域の情報をたくさん持っているはずです。

 

④(がんの患者さんの場合)がん相談支援センター

がん相談支援センターは、全国の「がん診療連携拠点病院」や「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に設置されている、がんに関する相談窓口。その病院の患者さんだけでなく、ご家族や、その病院に通っていない地域の方々など、誰でも無料・匿名で利用でき、主に面談または電話で相談することができます。病院にかかっている患者さん以外でも利用ができることを知らない方がとても多い気がします。①でお伝えした通り、病院の相談員さんは、親切にいろいろと相談にのってくれるはずです。

 

⑤「在宅療養支援診療所」+地域名 でインターネット検索
「在宅療養支援診療所」とは、定期的な訪問診療と365日対応可能な往診、介護連携、看取りなどの体制を整備することを条件に地方厚生局長に届出る診療所の施設基準。この届出をすることで、診療所が患者さんに算定する保険点数が大きく変わってきます。在宅医療を行っている診療所の目安になります。さらに積極的に在宅医療を行っている診療所の場合、「機能強化型在宅療養支援診療所」でネット検索するのもあり。(また別の機会に、このへんの説明は書こうと思います。)
インターネット検索をすれば、おそらく地域ごとに、行政や医師会が作成したリストの一覧が出ると思います。ただ、この施設基準を届け出ていても、実際の在宅医療への取り組みはあまりない診療所もあるので、参考資料として活用するのがよいと思います。


⑥近所の人の口コミ

最後に紹介するのが、ズバリ、口コミ。これが相当に貴重な情報になりうるんです。というのも、実際に在宅医療を受けた本人、家族でなければ本当の価値は評価できないと思うからです。ただ在宅医療だったり自宅でお看取りしたりした情報というのは、聞かない限り、あまり話題に出ないと思います。ですが、高齢化が進み在宅医療が身近になっている現在、友人、親戚、地域の人(商店や薬局などもあり)の中で、相談できそうな人に聞いていると、意外と身近で実際に在宅医療を受けた方がいるかもしれません。私が患者さんやご家族から相談を受ける場合も、「知り合いのお父さんがそちらに診てもらっていたみたいで・・・」等の口コミから当院を知って相談してくださるケースがとても多いのです。ただ、人間である以上、医師や看護師との相性やケースごとの違いはあるので、できれば数人に聞けるとよいと思います。

 

以上、ざっと書いてみました。

Let's じぶんちing!